ノンハロゲン難燃剤(マグラックス)のご案内。

1.ノンハロゲン難燃剤需要の背景。

1−1.プラスチック材料のノンハロゲン化。

 市場がノンハロゲン難燃剤に注目するのは、プラスチック材料のノンハロゲン化に関連しています。具体的には、塩化ビニルから、ポリオレフィン系プラスッチクス材料への転換を意味しています。

塩化ビニルが、素材して問題視され始めた理由には、以下のようなことが挙げられます。

@    塩化ビニルは、その70%が塩素であり、そのことから廃棄処分において燃焼すると、ダイオキシンを発生する恐れがあります。

A    塩化ビニルに最も広く混合されている可塑剤のDEPH(フタル酸エステル)は、生殖活動に阻害をあたえる環境ホルモンであると同時に発ガン物質とされています。

B    塩化ビニルは廃棄された場合、その中に添加混合されている可塑剤などが大地に染み出し重大な環境汚染の原因となる可能性があります。

C    塩化ビニルは、高度に管理された焼却炉では、ダイオキシンを発生させないとされていますが、焼却灰は、焼却前よりも嵩が増え、最終処分場の寿命を早める原因となります。

D    サーマルリサイクルと称して、塩化ビニルを高炉やセメントキルンにて燃焼させる計画がすすんでいますが、塩ビはその燃焼過程で塩化水素ガスを発生し、焼却炉壁を損傷することから、燃焼前に脱塩化水素処理をする必要があり、処理コストが著しく上昇します。また、副産物である塩化水素ガスの有効利用が必要となります。

1−2.添加物質としてのハロゲン物質の問題。

上記Aの問題の他、難燃剤としているハロゲン物質(臭素系難燃剤)の中には、環境ホルモンの疑いがあるとされているものもあります。また、これらのハロゲン物質が火炎にされされると人体に有毒なガスや電子機器の基盤に損傷をあたえる腐食性ガスが発生することが多く、非常時に迅速な非難行動を阻害する原因となります。

 臭素系難燃剤は、燃焼時に、臭素系ダイオキシンが発生することが指摘されています。

1−3.従来の難燃剤とその問題点。

プラスチックに使用されている難燃剤には、臭素系の他、酸化アンチモンやリン系など様々な種類がありますが、これらも燃焼の際に腐食性ガスや有毒ガスを発生させることが指摘されています。塩化ビニルに替わる素材としては、ノンハロゲンプラスチックと称されるポリエチレン等がありますが、これらは塩化ビニルと比較して、燃えやすいという欠陥があります。これらの素材に難燃性を付与し、かつ環境面でも問題がないとされるノンハロゲンである難燃剤の代表的なものが、水酸化マグネシウムです。

2.ノンハロゲン難燃剤

ノンハロゲン難燃剤としては、水酸化マグネシウムの他、水酸化アルミニウムが知られています。

  水酸化アルミニウムは、吸熱分解反応が180200℃と低い温度より始まるため、ポリプロピレン(PP)や、エチレンビニルアセテート(EVA)、そしてポリアミド(PA)などの樹脂には使用できません。このような樹脂に対して、水酸化マグネシウムは、その分解温度が330℃以上と高いことから使用可能です。また、発煙防止の面においても優れています。双方とも腐食性ガスの発生もなく、電子機器への悪影響もありません。

これらのことから、塩化ビニル代替へ材料への難燃剤としては、水酸化マグネシウムが最適の難燃剤とされています。

3.水酸化マグネシウムの市場

水酸化マグネシウム難燃剤には、大別すると海水から抽出し合成したものとマグネシウム分を含む天然鉱物から製造したものがあります。

国内の水酸化マグネシウム難燃剤は、海水より合成し独自の技術で表面処理した商品がほとんど独占しています。

4.水酸化マグネシウム難燃剤の需要

4−1.過去の需要形態

 過去にも、天然鉱物を原料とする水酸化マグネシウムは、市場に参入を仕掛けたことは、ありますが、定着しませんでした。その理由は、以下のようなことと思われます。

@海水を原料とするものと比較して、粒径が大きすぎ、また、純度も低かった。

A国内には、優れた難燃剤として海水から製造される「海水もの」水酸化マグネシウムが存在していたため、顧客においては、その難燃剤に適合するような配合技術が完成されていました。評価は全て「海水もの」の代替え品としてそのままの配合で、置き換え可能かで判定されました。この種類の難燃剤は、添加量が多いことから、それ専用の配合を見つけ出す必要がありましたが、ユーザーはその配合の研究をしていませんでした。

Bコンパウンドメーカーは、配合に「海水もの」を使用し、売上高が高い製品を販売していたほうが、営業面で好ましかったこともあります。また、ノンハロゲン製品は、特殊用途向け、NTT電線向けや消防用向けが主体で、どうしても必要な人が購入する「高くても売れる。」製品に限られていたことも、その理由です。

C当時は、ノンハロゲン化を要請するダイオキシンや環境ホルモン問題もなく、高価格・高性能のハロゲン系難燃剤で十分に間に合っていた部門も多かったようです。

4−2.市場のノンハロゲン化。

 世界的にも、ノンハロゲン化の動きは止まらないと思われます。塩化ビニルは、ダイオキシンと環境ホルモンという2つの懸念から、その使用が抑制されていく機運が高まりつつあります。

 国内でも、従来の素材を塩ビ材から非塩ビ材に移行し始める研究を始めており、一部では、切り替えが始まっています。

@98年11月建設省は、建設省が発注する建造物において使用する電線は、非塩ビ製(エコ電線)にするようにと通達をだしました。

A99年4月文部省も同様な通達を出しました。

B某大手自動車メーカーは、2003年を目標に非塩ビ化を進めています。

C某大手家電メーカーは、2005年を目標に非塩ビ化を進めています。

Dデンマークは、塩ビの使用に課税する検討中です。

ノンハロゲン材料では、ポリカーボネイトを改良した新材料も登場してきているようですが、塩化ビニルにおける可塑剤(フタル酸エステル)と同様に、環境ホルモンの溶出という面で、まだ明らかになっていない面も持ち合わせています。また、燐系の難燃剤もその難燃機能発揮時や焼却時の発生ガスの人体への安全性に疑問が残ります。パソコン筐体に使用されているABSに添加されているリン酸トリフェニル(TPP)も、使用中の熱で、本体から放出され人体へアレルギーを誘発するとの報告も、スウェーデンで、報告されています。

 水酸化マグネシウムは、現時点では、デンマークの環境庁の報告書でも示されていますが、人体への悪影響は報告されていません。

5.水酸化マグネシウムの需要予想

 将来的に予想される水酸化マグネシウム難燃剤の市場ですが、仮に、国内の電線向けについて試算してみます。国内向け塩化ビニル出荷量約200万トンのうち約11%くらいが電線被覆向けといわれています。それから計算すると電線向け塩化ビニルの使用量は約22万トン/年。そのうちの10万トン/年が難燃ポリエチレンに変わったとすると、約5万トン/年の難燃剤が必要なことになります。

 電線以外の用途である用途においても、例えば壁紙やシートのノンハロゲン化が進行していくとすると、かなりの需要量が予想されます。

6.マグラックスについて

マグラックスは、顧客からも天然鉱物を原料とした難燃剤としては、高品位との評価を受けています。独自の技術で、ステアリン酸をはじめとして、顧客の要望に沿った表面処理を施して販売しています。

生産能力は、現状では、約100トン/月となっていますが、需要の拡大に応じて製造系列を増設する予定です。

  脱塩ビの動静は、進捗状態が遅々としてはいるものの、世界的に進みつつあります。多くの業界関係者も認めることですが、塩ビとの価格差の少ない代替品として、安価な難燃剤を利用したポリオレフィン樹脂のより広範囲な適用例は、近い将来間違えなく増大していくものと期待されます。

 以上

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